モノレールの導入空間となる道路とは
最終更新:2026年7月
多摩都市モノレール町田方面延伸について調べると、「導入空間となる道路」という言葉がたびたび使われます。
ここでいう導入空間とは、一般の自動車が走る道路だけを指すものではありません。モノレールの支柱、軌道桁、駅舎、階段、エレベーター、避難施設などを設ける空間も含め、道路とモノレールを立体的に整備するために必要な都市空間を意味します。
町田方面延伸を実現するには、運行する車両や軌道を計画するだけでなく、その土台となる道路の整備を進める必要があります。
都市モノレールと道路の関係
多摩都市モノレールは、軌道桁の上に車両がまたがって走行する跨座式モノレールです。既存線の多くは、道路の中央部などに支柱を設け、その上に軌道桁を架ける構造となっています。
新交通システムや都市モノレールは、道路を立体的に利用した専用軌道上を走行する交通システムとして整備されています。地下鉄のように道路の地下を連続して掘削するのではなく、道路上空を活用できることが特徴です。
ただし、道路の中央に支柱を置けば、どの道路にもモノレールを設置できるわけではありません。道路本来の機能を確保しながら、モノレール施設を安全に配置できる幅と構造が必要です。
道路内に設けられる主な施設
一般的な高架式の都市モノレールでは、地中に支柱の基礎を設け、その上に支柱と軌道桁を構築します。駅のない区間では、道路中央部の比較的小さな範囲に支柱を設けられる場合があります。
駅を設置する区間では、ホーム、コンコース、階段、エスカレーター、エレベーター、電気・通信設備、避難経路などが必要となるため、通常の走行区間より広い空間が必要です。
駅への出入口を歩道上や沿道の敷地に設ける場合には、歩行者の通行空間やバリアフリー経路も確保しなければなりません。バス乗り場、タクシー乗り場、自転車駐車場などを整備する駅では、駅単体ではなく、周辺の交通広場や道路との一体的な設計が必要になります。
必要な道路幅員は場所によって異なる
モノレールに必要な道路幅員は、全区間で一律ではありません。
一般部、駅部、交差点部、曲線部、分岐部では必要な空間が異なります。自動車の車線数、歩道、自転車通行空間、中央分離帯、右折車線、道路の高低差、地下埋設物、沿道建物との距離などによっても条件が変わります。
このため、「幅員が何メートルあれば必ずモノレールを通せる」と単純に決めることはできません。概略ルートの段階では道路の幅や連続性を確認し、事業化に向けた検討では、支柱、駅舎、交差点、道路線形などを含む具体的な設計を進めます。
箱根ケ崎方面延伸でも、一般部と駅部では必要な道路幅が異なり、終点駅付近では駅施設を設置するため、関連する都市計画道路の幅員が35.5メートルから39.5メートルに変更されています。
インフラ部とインフラ外部
多摩都市モノレールの整備では、道路と一体となる施設と、列車の運行に必要な設備について、整備主体が分かれています。
支柱、基礎、軌道桁、駅舎の骨格などは「インフラ部」と呼ばれ、原則として東京都が整備します。車両、電車線、信号・通信設備、券売機など、列車の運行や事業経営に必要な施設は「インフラ外部」と呼ばれ、多摩都市モノレール株式会社が整備します。
道路整備とモノレール整備が密接に関係するのは、このインフラ部が道路事業と一体的に整備されるためです。
町田方面延伸と道路整備
約16キロメートルに及ぶ町田方面延伸の基本ルートには、すでに十分な幅を持つ道路、今後拡幅する道路、新たに整備する都市計画道路などが含まれます。
道路の整備状況は区間によって異なるため、全線を一度に同じ方法で整備するわけではありません。既存道路を活用できる区間がある一方、用地取得や道路築造が必要な区間もあります。
特に町田市民病院から町田駅方面まででは、町田都市計画道路3・3・36号相原鶴間線と、町田都市計画道路3・4・11号停車場成瀬線が、モノレールの主要な導入空間として位置付けられています。
町田都市計画道路3・3・36号相原鶴間線
町田都市計画道路3・3・36号相原鶴間線は、町田市内を南北方向に結ぶ主要な都市計画道路です。全体では相原町方面から鶴間方面へ至る路線で、町田街道の交通を補完する道路として、複数の区間に分けて整備が進められてきました。
町田方面延伸の基本ルートでは、町田市民病院付近から芹ヶ谷公園付近までの区間が、モノレールの導入空間として重要な役割を担います。
この区間は、東京都が2016年に策定した都市計画道路の整備方針で、優先的に整備すべき路線に位置付けられました。町田市民病院から都立町田高校付近までの区間については、東京都が2021年に道路事業へ着手し、用地取得を進めています。
町田市も「多摩都市モノレール町田方面延伸加速化プロジェクト」により、東京都の道路事業着手に先立って用地を取得してきました。最初の取得では、約1,000平方メートルの土地を先行取得しています。
この先行取得は、モノレールの工事用地を直接取得しているというより、将来モノレールの導入空間となる道路を円滑に整備するための取組です。
町田都市計画道路3・4・11号停車場成瀬線
町田都市計画道路3・4・11号停車場成瀬線は、現在の原町田大通りを北東方向へ延伸し、町田街道の原町田五丁目交差点から3・3・36号線までを結ぶ道路です。
整備区間は約520メートル、計画幅員は25メートルから41メートルです。東京都の「みちづくり・まちづくりパートナー事業」として、東京都が事業費を負担し、町田市が用地取得、設計、工事などを進めます。
この道路は、町田駅周辺から芹ヶ谷公園へのアクセスを向上させるとともに、将来のモノレール導入空間として利用される計画です。
2025年度末時点の用地取得率は30%で、2026年度も引き続き用地取得が進められています。取得状況を踏まえて、今後、道路工事へ移ることになります。
2つの道路が担う役割
町田市民病院方面から進んできたモノレールは、3・3・36号線を通って芹ヶ谷公園周辺へ向かい、3・4・11号線を経て町田駅方面へ至ることが基本ルートとして想定されています。
3・3・36号線は、町田市中央部を南北方向に結ぶ広域的な道路軸です。3・4・11号線は、この道路軸と町田駅周辺を結ぶ、最後のアプローチ区間としての役割を持ちます。
両路線は、モノレールのためだけの道路ではありません。自動車交通の円滑化、歩行者空間の整備、芹ヶ谷公園へのアクセス向上、防災性の向上、町田駅周辺のまちづくりなど、複数の役割を担う都市基盤です。
道路が完成すれば、すぐにモノレールが建設されるのか
導入空間となる道路の完成は、延伸実現に必要な重要条件ですが、道路が完成しただけでモノレールの建設が自動的に始まるわけではありません。
町田方面延伸には、事業化の決定、最終ルートと駅位置の決定、利用需要や収支採算性の検証、都市計画、環境に関する手続き、軌道事業の許認可、設計、用地取得などが必要です。
道路整備は、将来モノレールを整備すると決まった際に、導入空間が不足して事業が進められなくなることを防ぐための先行的な取組といえます。
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