多摩都市モノレール箱根ケ崎方面延伸整備計画
多摩都市モノレール箱根ケ崎方面延伸整備計画は、現在の北側の終点である上北台駅から、JR八高線の箱根ケ崎駅付近に設けられる(仮称)No.7駅まで、多摩都市モノレールを延伸する事業です。
延伸区間は、東京都東大和市上北台一丁目から武蔵村山市を経由し、西多摩郡瑞穂町大字箱根ケ崎字狭山までの約7.0キロメートルです。全線を複線の高架構造とし、新たに(仮称)No.1駅から(仮称)No.7駅までの7駅を整備します。新駅のうち、(仮称)No.1駅からNo.5駅までの5駅が武蔵村山市内、(仮称)No.6駅とNo.7駅の2駅が瑞穂町内に計画されています。輸送システムには、現在の多摩都市モノレールと同じ跨座式モノレールを採用し、4両編成、1編成当たり定員約400人の車両による運行が想定されています。

延伸ルートは、上北台駅から北上した後、新青梅街道を中心に武蔵村山市内を西へ進み、瑞穂町内でJR箱根ケ崎駅方面へ至ります。終点となる(仮称)No.7駅はJR箱根ケ崎駅の東側付近に設置される計画で、JR八高線との交通結節機能を持つ駅として整備されます。これにより、JR箱根ケ崎駅方面から立川、高幡不動、多摩センター方面へつながる、多摩地域の新たな南北方向の公共交通軸が形成されます。
東京都は、延伸区間の支柱、軌道桁、駅舎など、施設の骨格を形成する「インフラ部」の整備を担当します。車両、電車線、信号・通信設備、券売機など、列車の運行や事業経営に必要となる「インフラ外部」は、多摩都市モノレール株式会社が整備します。事業費は、東京都が担当するインフラ部が約904億円、インフラ外部を含む事業全体では約1,290億円とされています。都市計画事業としての事業期間は、2025年度から2034年度までです。
計画の具体化に向けては、2022年11月に環境影響評価計画書が公表され、2023年12月には都市計画案、環境影響評価書案、関連する都市計画道路の変更案について住民説明会が開催されました。その後、環境への影響について予測・評価を行った環境影響評価書が2025年2月に公表され、同年3月6日には、延伸区間に関する都市高速鉄道、都市モノレール専用道および関連する都市計画道路の都市計画決定・変更が行われました。
運行事業者となる多摩都市モノレール株式会社は、2024年7月23日に軌道法に基づく軌道事業の特許を国土交通大臣へ申請しました。審査を経て、2025年5月9日、上北台駅から(仮称)No.7駅までの延伸区間について、運輸事業を経営するための軌道事業特許を取得しています。軌道事業特許は、延伸区間でモノレール事業を経営するための法的な資格に当たるもので、延伸事業を実現するうえで重要な手続きの一つです。
2025年11月27日には、東京都が国土交通省から都市計画事業の認可を取得し、上北台駅からJR箱根ケ崎駅方面までの延伸事業に正式に着手しました。これにより、東京都による用地取得、測量、設計、道路拡幅、支柱や軌道桁などの整備を進めるための事業上の基盤が整いました。延伸に合わせて、立川都市計画道路3・2・4号新青梅街道線、福生都市計画道路3・4・4号新青梅街道線、福生都市計画道路3・4・10号東京環状線についても、駅施設の設置に必要な道路拡幅などが進められます。
さらに、多摩都市モノレール株式会社が2025年5月20日に申請していた「軌道第一次分割工事施行認可」について、2026年5月22日付で国土交通大臣の認可を取得しました。今回の認可対象は、支柱、軌道桁、駅舎など、主として土木・建築関係の施設です。軌道法では、軌道事業特許を取得しただけでは工事を実施できず、具体的な施設設計について工事施行認可を受ける必要があります。第一次分割工事施行認可の取得により、延伸事業は計画や事業認可の段階から、具体的な建設に向けた段階へ進んでいます。今後は、電力、信号、通信などを中心とする第二次の工事施行認可に関する手続きも進められることになります。
東京都は、延伸区間について2030年代半ばの開業を目指しています。かつて環境影響評価計画書などをもとに「工事期間約10年」「2035年頃」と説明されることもありましたが、現在は特定の年度を開業年度として確定しているわけではありません。このため、現段階では東京都の公式表現である「2030年代半ばの開業を目指す」とするのが適切です。
延伸に伴い整備される駅は、単なる乗降施設ではなく、地域の新たなまちづくりの拠点として位置付けられています。東京都は地元自治体、有識者、多摩都市モノレール株式会社などと連携し、延伸区間全体と各駅のデザインコンセプトを検討しています。7駅のうち、主要駅に位置付けられる(仮称)No.3駅と(仮称)No.6駅については、地域の特徴や将来のまちづくりを反映した駅舎とするため、2026年に駅舎デザインコンペが実施されました。
沿線自治体でも、延伸を見据えた取組が進められています。武蔵村山市では、5つの新駅を中心とした沿線まちづくりや公共交通網の再編が検討されています。瑞穂町では、(仮称)No.6駅とNo.7駅周辺について、交通結節機能、商業・産業機能、住宅、交流拠点などを組み合わせたまちづくりが計画されています。東京都も2026年3月、「多摩都市モノレール延伸部沿線まちづくり実施計画」を策定し、駅と周辺地域を一体的に整備する方針を示しました。
箱根ケ崎方面への延伸が実現すると、現在の多摩センター駅―上北台駅間約16キロメートルと延伸区間約7キロメートルが一体となり、JR八高線と多摩都市モノレールが接続します。鉄道駅がない武蔵村山市に初めて軌道系公共交通の駅が設けられるとともに、沿線地域から立川、多摩センター方面への移動利便性が高まることが期待されます。
その効果は交通利便性の向上だけにとどまりません。駅周辺への都市機能の誘導、公共交通を中心とした移動体系への転換、沿線商業や産業の活性化、地域間交流の拡大など、多摩地域全体の活力と魅力を高める基盤としての役割が期待されています。
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