多摩都市モノレール町田方面延伸の歩み

多摩都市モノレール町田方面延伸の歩み

最終更新:2026年7月

多摩都市モノレール町田方面延伸は、現在の終点である多摩センター駅から、町田市内を南北に縦断して町田駅方面へ延伸する計画です。

この計画は、近年になって突然生まれたものではありません。国の交通政策上の位置付け、東京都によるルート検討、町田市・多摩市による沿線まちづくり、導入空間となる道路の整備などが、長い年月をかけて段階的に進められてきました。

一方、2026年7月時点では、町田方面延伸の事業化や最終ルートが正式に決定した段階ではありません。東京都は、複数のルート案について計画の深度化、事業費の精査、事業性の比較検証を進めています。ここでは、町田方面延伸が現在の段階に至るまでの経緯を時系列で整理します。

2000年 国の答申に延伸構想が位置付けられる

2000年1月、国の運輸政策審議会が答申第18号をまとめました。答申では、多摩都市モノレールについて、上北台駅から箱根ケ崎方面、多摩センター駅から町田方面および八王子方面への延伸が位置付けられました。

この時点で、町田方面延伸は「今後整備について検討すべき路線」とされており、具体的な建設事業として決定されたものではありませんでした。国の交通政策上、将来検討すべき鉄軌道ネットワークとして位置付けられたことが、その後の検討の基礎となりました。

2016年 交通政策審議会答申第198号

2016年4月、国土交通省の交通政策審議会は、答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」を公表しました。

町田方面延伸は、箱根ケ崎方面延伸とともに、多摩地域の主要地区間のアクセス利便性向上に資する路線として、「東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義のあるプロジェクト」に位置付けられました。さらに、関係する地方公共団体や鉄道事業者などが、事業化に向けて具体的な調整を進めるべき路線とされています。

この答申によって、町田方面延伸は、単なる地域の要望路線から、国の交通政策上、事業化に向けた検討を進めるべき路線へと位置付けが一段階進みました。

2018年 東京都と町田市が推進体制を強化

東京都は2018年度、「東京都鉄道新線建設等準備基金」を創設しました。この基金は、国の答申で事業化に向けた検討を進めるべきとされた鉄道路線などに備えるもので、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面と町田方面も対象に含まれました。

町田市も同年4月、専門部署となる「多摩都市モノレール推進室」を設置し、「町田市多摩都市モノレール基金」を創設しました。将来、延伸事業や関連するまちづくりが本格化した際の支出に備えるとともに、庁内の推進体制を強化したものです。

2019年 道路用地の先行取得とルート検討が始まる

町田市は2019年6月、「多摩都市モノレール町田方面延伸加速化プロジェクト」を開始しました。

都市モノレールを整備するには、支柱、軌道桁、駅舎などを設けるための道路空間が必要です。このプロジェクトでは、東京都が将来整備する予定の都市計画道路について、土地所有者から売却の意向が示された場合に、町田市が事業用地を先行取得します。東京都による道路事業着手後に取得用地を引き継ぐことで、将来の用地取得を円滑に進めることが目的です。

同年10月には、東京都が「多摩都市モノレール町田方面延伸ルート検討委員会」を設置しました。検討の対象となったのは、町田方面延伸のうち、モノレールの導入空間となる道路が確定していなかった区間です。第1回委員会は2019年10月29日に開催され、その後、複数のルート案について比較が行われました。

2019年から2021年 3つのルート案を比較

ルート検討委員会では、A案、B案、C案の3案について、移動時間、想定利用者数、費用便益、収支採算性、道路整備、自然環境への影響、沿線開発の可能性、主要施設へのアクセスなどが比較されました。

委員会は、2019年10月、同年12月、2020年3月、2021年12月の計4回開催されています。単純に多摩センター駅と町田駅を最短距離で結ぶのではなく、モノレールと沿線まちづくりとの相乗効果を生み出せるかという視点が重視されました。

2021年12月 B案を基本ルートに選定

2021年12月27日の第4回ルート検討委員会で、3案のうちB案が最適と判断されました。

B案は、多摩センター駅から野津田公園、日大三高周辺、小山田桜台団地、桜美林学園、木曽山崎団地地区、町田市民病院、芹ヶ谷公園周辺などを経て、町田駅方面へ至る延長約16キロメートルのルートです。

速達性では他案よりやや劣る一方、住宅団地、教育施設、医療施設、公園、スポーツ施設などを広く結び、沿線開発や新たな利用需要の創出が期待できる点が評価されました。

ただし、B案は、工事を行う最終ルートとして確定したものではありません。東京都は、B案を基本としつつ、沿線まちづくりの進展や収支採算性の精査結果によっては、A案やC案を改めて検討する場合があるとしています。

2022年8月 沿線まちづくり検討会を設置

基本ルートの選定後、東京都は地元自治体に対し、モノレールの利用需要を生み出す沿線まちづくりの具体化を求めました。

これを受け、町田市と多摩市は2022年8月、「多摩都市モノレール町田方面延伸 沿線まちづくり検討会」を設置しました。検討会は学識経験者、町田市、多摩市で構成され、全6回にわたって、沿線地域の将来像やまちづくりの方向性を検討しました。

検討では、駅周辺への都市機能の集積だけでなく、住宅団地の再生、既存の路線バスとの連携、歩行者・自転車の移動環境、自然や農地の活用、学校、病院、公園、スポーツ施設へのアクセス向上などが取り上げられました。

2023年から2024年 市民意見募集と構想の策定

町田市と多摩市は、沿線まちづくり検討会の検討結果をもとに「モノレール沿線まちづくり構想素案」をまとめ、2023年12月20日から2024年1月19日まで市民意見募集を行いました。

寄せられた意見を踏まえ、2024年3月に「モノレール沿線まちづくり構想」が正式に策定されました。構想では、モノレールが走る将来のまちの姿と、その実現に向けた取組方針が示されています。

構想策定は、延伸事業そのものの決定ではありません。しかし、沿線まちづくりによって利用者を増やし、モノレールの事業性を高めるための重要な段階に当たります。

導入空間となる道路の整備

町田方面延伸の実現には、モノレールの支柱、軌道桁、駅舎などを設置する道路空間の確保が必要です。

特に町田市民病院付近から町田駅方面までの区間では、町田都市計画道路3・3・36号相原鶴間線と、町田都市計画道路3・4・11号停車場成瀬線が重要な導入空間となります。

3・3・36号線の町田市民病院から芹ヶ谷公園付近までの区間は、東京都の都市計画道路整備方針で優先的に整備すべき路線に位置付けられています。このうち町田市民病院から都立町田高校付近まででは、東京都が2021年に事業へ着手し、用地取得を進めています。

3・4・11号線は、現在の原町田大通りを北東方向へ延伸し、町田街道の原町田五丁目交差点から3・3・36号線へ接続する約520メートルの道路です。芹ヶ谷公園へのアクセス路になるとともに、将来のモノレール導入空間として計画されています。2025年度末時点の用地取得率は30%で、2026年度も用地取得が進められています。

2025年から2026年 計画と事業性の検証を深める段階へ

東京都の「2050東京戦略」では、町田方面延伸について「検討を深度化」する方針が示されています。

2026年度には、地元自治体が進めるまちづくりへの支援に加え、複数のルート案について、計画の深度化、事業費の精査、事業性の比較検証を進める方針が東京都から示されました。

延伸の具体化には、導入空間の確保だけでなく、利用需要、建設費、運営費、収支採算性、費用対効果などを総合的に検証する必要があります。

現在、決まっていることと決まっていないこと

2026年7月時点で、町田方面延伸について決まっているのは、多摩センター駅から町田駅方面を結ぶ路線として国の答申に位置付けられていること、B案を基本として検討が進められてきたこと、町田市と多摩市が沿線まちづくり構想を策定したこと、導入空間となる道路整備や事業性の検証が進められていることです。

一方、事業化の正式決定、最終的なルート、正式な駅数、駅の位置、駅名、事業費、着工時期、工事期間、開業年度は決定していません。

基本ルートの地図に表示されている野津田公園、日大三高、桜美林学園、町田市民病院などの名称は、ルート上の主な地域や施設を示すものであり、駅名や駅の設置位置を示したものではありません。

町田方面延伸は、長年にわたる構想から、沿線まちづくり、道路整備、事業性の検証を具体的に進める段階へと移っています。今後は、東京都、町田市、多摩市、多摩都市モノレール株式会社、国などの関係者が、事業として成立させるための条件をどこまで整えられるかが重要になります。

※計画中の内容は、今後の調査、設計、関係機関との協議により変更される場合があります。