多摩都市モノレールとは
多摩都市モノレールは、東京都多摩市の多摩センター駅から、立川市中心部を経由し、東大和市の上北台駅までを結ぶ跨座式モノレールです。正式な路線名は「多摩都市モノレール線」で、旅客案内や広報では「多摩モノレール」の呼称が広く使われています。
現在の営業区間は、多摩センター駅から上北台駅までの16.0キロメートル、全19駅です。東大和市、立川市、日野市、八王子市、多摩市の5市を南北方向に結び、東京都心方面へ延びるJR線、西武線、京王線、小田急線などの鉄道路線を相互に連絡しています。

多摩地域を南北に結ぶ基幹交通
多摩地域の鉄道網は、JR中央線、青梅線、京王線、小田急線など、東京都心と多摩地域を東西方向に結ぶ路線を中心に発達してきました。一方、これらの路線を横断し、多摩地域内の都市同士を南北方向に結ぶ公共交通は限られていました。
多摩都市モノレールは、この南北方向の交通を補い、多摩地域内の移動を便利にすることを目的として整備されたものです。玉川上水駅で西武拝島線、立川北駅・立川南駅でJR中央線、青梅線、南武線、高幡不動駅で京王線、多摩動物公園駅で京王動物園線、多摩センター駅で京王相模原線と小田急多摩線に接続しています。
これにより、東京都心を経由せずに多摩地域内を移動できる経路が形成され、通勤・通学、買い物、通院、観光、イベントなど、幅広い目的の移動を支えています。町田方面延伸に関する東京都・町田市の講演資料でも、多摩都市モノレールは多摩地域の南北方向の公共交通を充実させる基幹的な交通インフラとして位置付けられています。
開業までの経緯
多摩都市モノレール株式会社は、1986年4月8日に設立されました。路線は二つの区間に分けて整備され、1998年11月27日に第1期区間となる上北台駅―立川北駅間5.4キロメートルが開業しました。
続いて、2000年1月10日に第2期区間の立川北駅―多摩センター駅間10.6キロメートルが開業し、現在運行している多摩センター駅―上北台駅間16.0キロメートルが全通しました。
開業後は、沿線における住宅開発、商業施設の立地、大学や公共施設へのアクセス向上などとともに利用者が増加しました。2025年度の輸送人員は年間約5,303万3千人、一日平均約14万5千人となり、年間輸送人員と運輸収入はいずれも過去最高を記録しています。

多摩都市モノレール株式会社
路線を運営する多摩都市モノレール株式会社は、東京都立川市泉町に本社を置く第三セクター方式の軌道事業者です。資本金は1億円で、東京都が79.9%を出資する筆頭株主となっています。このほか、西武鉄道、京王電鉄、小田急電鉄、金融機関、電力会社、八王子市、立川市、日野市、東大和市、多摩市などが出資しています。
多摩都市モノレールの施設整備は、東京都と多摩都市モノレール株式会社が役割を分担して行っています。東京都は、支柱、軌道桁、駅舎の骨格など、道路と一体となる「インフラ部」を整備します。多摩都市モノレール株式会社は、車両、運営基地、変電所、電車線、信号・通信設備など、主として列車の運行に必要となる「インフラ外部」を担当します。
一般的な鉄道が独立した鉄道用地に線路を敷設するのに対し、都市モノレールは道路上の空間を活用して整備される点に大きな特徴があります。このため、新たな区間を延伸する際には、モノレール施設だけでなく、支柱や駅舎を設置するための道路幅員や交差点構造なども一体的に検討する必要があります。
車両と運行方式
多摩都市モノレールでは、軌道桁の上に車両がまたがって走行する「跨座式」を採用しています。車両は1000系の4両固定編成で、走行輪と案内輪にゴムタイヤを使用しています。
列車には、前方の列車との間隔や速度を監視するATC(自動列車制御装置)と、駅間の加速、定速運転、減速、停車などを支援するATO(自動列車運転装置)が導入されています。運転士が乗務するワンマン運転を行い、安全性と安定した運行の確保が図られています。
ブレーキ時に発生する電力を再利用する回生ブレーキやVVVFインバータ制御も採用され、省エネルギー化にも配慮した車両となっています。
多摩都市モノレールの全体構想
多摩都市モノレールには、現在の営業区間を含めて総延長約93キロメートルの全体構想があります。ただし、約93キロメートルの全区間について、建設時期や駅位置などが決まっているわけではありません。多摩地域の将来の都市構造を見据えた長期的な交通ネットワーク構想であり、需要、採算性、道路整備、沿線まちづくりなどを踏まえて、各方面の検討が進められています。
現在の営業区間からは、北側の箱根ケ崎方面、南側の町田方面と八王子方面への延伸が国の交通政策に位置付けられています。それぞれの延伸は同じ段階にあるわけではなく、箱根ケ崎方面は事業着手後の建設準備段階、町田方面は事業化に向けた検討段階、八王子方面はルートや需要創出などを検討する構想段階にあります。
箱根ケ崎方面への延伸
箱根ケ崎方面延伸は、現在の北側の終点である上北台駅から、武蔵村山市を経由してJR八高線の箱根ケ崎駅方面まで延伸する事業です。延伸区間は約7.1キロメートルで、新たに7駅が設置される計画です。
2025年3月に都市計画決定が行われ、同年5月9日には多摩都市モノレール株式会社が軌道事業特許を取得しました。2025年11月27日には東京都が都市計画事業認可を取得し、正式に延伸事業へ着手しています。
2026年5月22日には、支柱、軌道桁、駅舎などを対象とした「軌道第一次分割工事施行認可」が国土交通大臣から認可されました。これにより、計画や事業認可にとどまらず、具体的な施設整備に向けた法的手続きがさらに進んでいます。
東京都は、延伸区間について2030年代半ばの開業を目指しています。開業すると、鉄道駅のない武蔵村山市に初めて軌道系公共交通の駅が設けられ、JR八高線と多摩都市モノレールが接続します。
なお、旧ページに記載していた「環境アセスを3年で終了した場合、2035年頃」という表現は推計によるものであり、現在の公式な開業目標ではありません。今後は東京都の表現に合わせ、「2030年代半ばの開業を目指す」とするのが適切です。
町田方面への延伸
町田方面延伸は、現在の南側の終点である多摩センター駅から、町田市内を南北に縦断して町田駅方面まで延伸する計画です。
2016年4月の交通政策審議会答申では、「東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義のあるプロジェクト」とされ、関係する地方公共団体や鉄道事業者などが、事業化に向けて具体的な調整を進めるべき路線と位置付けられました。
東京都は2019年に「多摩都市モノレール町田方面延伸ルート検討委員会」を設置し、複数のルート案を比較しました。2021年12月には、多摩センター駅から野津田公園、日大三高周辺、小山田桜台団地、桜美林学園、木曽山崎団地地区、町田市民病院、芹ヶ谷公園周辺などを経て町田駅方面へ至る、延長約16キロメートルのB案が、今後の検討の基本となるルートとして選定されました。
B案は、単に多摩センター駅と町田駅を最短距離で結ぶのではなく、住宅団地、学校、医療施設、公園、スポーツ施設など、市内の主要な拠点を結ぶことで、新たな利用需要と沿線まちづくりの効果を生み出すことを重視したルートです。
ただし、B案は最終的な事業ルートとして確定したものではありません。東京都は、沿線まちづくりの具体化や収支採算性の精査結果によっては、比較対象となった別ルートを改めて検討する可能性があるとしています。
町田市と多摩市は、駅を中心とした生活圏の形成、団地再生、公共交通網の再編、都市機能の集積などを検討し、2024年3月に「モノレール沿線まちづくり構想」を策定しました。
2026年7月時点では、延伸による収支採算性などの検証と、モノレールの走行路となる道路設計の深度化、関係者間の協議が進められています。現段階では、事業化決定、都市計画決定、軌道事業特許の取得には至っておらず、正式な駅数、駅位置、事業費、工事期間、開業年度も決定していません。
東京都の「2050東京戦略」では、箱根ケ崎方面の延伸事業を推進するとともに、町田方面延伸については検討を深度化する方針が示されています。
交通とまちづくりを一体で考える
多摩都市モノレールは、駅と駅を結ぶだけの交通機関ではありません。駅の設置によって新たな人の流れが生まれ、住宅、商業、医療、福祉、教育、文化、スポーツなどの都市機能が結び付くことで、沿線の暮らしや地域経済にも大きな変化をもたらします。
延伸の実現には、モノレール施設や道路を整備するだけでなく、路線バス、自転車、徒歩などとの乗り継ぎ環境を整え、駅周辺に人が集まり、暮らし、活動するまちを形成することが欠かせません。沿線まちづくりによって利用需要を生み出すことは、開業後の安定した運営にもつながります。東京都の講演資料でも、沿線まちづくりの推進、需要創出による事業性の向上、開業後の安定経営を一体として進める考え方が示されています。
多摩都市モノレールは、現在の16キロメートルの路線を基礎として、箱根ケ崎方面への事業を進めながら、町田方面をはじめとする将来の延伸に向けた検討が続けられています。多摩地域の都市を南北に結び、地域内の移動と交流を支える交通基盤として、今後さらに重要な役割を担うことが期待されています。

【箱根ヶ崎延伸】2022年11月に多摩都市モノレールの延伸計画が発表されました。この計画では、上北台(東大和市)から西多摩郡瑞穂町・箱根ヶ崎まで約7キロの延伸が予定されています。新青梅街道沿いに高架軌道を設置し、7つの駅を設ける予定です。
2022年11月に公表された環境影響評価計画書によると、工事期間は10年です。環境アセスを3年で終了したとして、開業は2035年頃という計算になります。
【町田延伸】また、東京都は多摩都市モノレールの町田方面への延伸構想について、事業化に向けた検討を開始しています。2021年に選定されたルートも多摩センター直結ではなく、大型の団地や学校といった市内の拠点を結びながら迂回して結ぶものです。
多摩モノレールの町田方面への延伸構想について、東京都は2024年度にも事業化に向けた検討を進めるとしています。
2019年に設置されたルート検討委員会では、多摩センター直結ではなく、大型の団地や学校といった市内の拠点を結びながら迂回するルートを選定しています。このルート案は、多摩センターから野津田や小山田桜台団地、町田山崎団地などを通るもので、延長は約16kmです。
町田市と多摩市は2023年度内に沿線のまちづくり構想をまとめ、2024年度にも開業後の需要予測など事業化に向けた検討を進めるとしています。
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