軌道事業特許とは
モノレールの延伸に関する記事で目にする「軌道事業特許」。ここでいう「特許」は、発明や技術に対して与えられる特許権とは異なります。道路上などに軌道を敷設し、旅客を運ぶ事業を経営するために、国土交通大臣から受ける法的な資格を意味します。
都市モノレールの多くは、道路の中央部などに支柱を設置し、その上に軌道桁を架ける構造です。軌道法では、軌道は特別な事情がある場合を除いて道路に敷設するものとされ、軌道を敷設して運輸事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の特許を受けなければならないと定められています。
申請に当たっては、予定する路線、軌道の方式、輸送計画、建設費、資金計画、収支見通し、事業者の経営能力などが示されます。国は、計画が公共交通として適切か、事業を継続して運営できる見込みがあるか、道路や周辺交通との関係に問題がないかといった点を審査します。
多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面延伸では、多摩都市モノレール株式会社が2024年7月23日に申請し、2025年5月9日付で国土交通大臣から軌道事業特許を受けました。対象は、上北台駅からJR箱根ケ崎駅付近の(仮称)No.7駅までの約7キロメートルです。
ただし、軌道事業特許を取得しても、すぐに支柱や駅舎の建設を始められるわけではありません。特許は「この区間で運輸事業を経営する資格」を与えるものであり、実際の工事には、施設の具体的な設計について工事施行認可を受ける必要があります。
町田方面延伸は、2026年7月時点で軌道事業特許を申請・取得した段階には至っていません。現在は、ルート、導入空間、事業費、需要、収支採算性などを検証し、事業化に向けた条件を具体化している段階です。
軌道事業特許は、モノレールの開業そのものを認める手続きではなく、その路線で運輸事業を経営するための重要な出発点です。

